し ろ う さ ぎ
「……覚えてたんだ。
オレの好きなもん」
優しい声で翔太君は話題を戻した。
「うん……。
好きなものって見たり貰ったりすると嬉しくなるでしょ?
だから出来るだけ覚えてたい。
それでね沢山見せてあげたい」
「優しいんだな……千鶴は」
「……はは。
どうかなぁ……?
……でも優しくいたいっていつも思う。
自分の中の自分を殺すことになっても誰かが笑ってくれるなら……それでもいい」
優しく在りたい。
誰かの為になりたい。
その時あたしは生きてる……そう思える。
そのために生かされてるんだって、生きる理由が出来るから。
「……オレ、なら……千鶴が無いものにした千鶴にも……好きなものを見せたい」
「……っえ?」