し ろ う さ ぎ




「いいんだけどな。
それがオレのためでもあるしー?」


「そっ……か」


「まあ千鶴がデートしてくれるってんなら話は別だけどっ?」



からかってくる翔太君にはいはいと受け流し、サヨナラを。




「話……聞いてくれて本当にありがとう。
すごく元気付けて貰ったよ……っ」


「今度は礼なんていらねーから、な?
千鶴が……どっかで笑ってくれてたらそれでよし!」


「……っうん」


「それじゃ……元気で」


「うん。
……さよなら……翔太君」




二人の別離を合図するような通話の終了を知らせる電子音。


どうしてか部屋はさっきより静かになったような気がして……。



「あーあ。
なに格好つけてんだか、オレ……」




一方の彼のそんな言葉は……誰に届くわけでもなく。


開け放たれた窓が連れてきた夕暮れの優しい風に流され溶けていった……



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