し ろ う さ ぎ





それから何度か斎川君の視線を感じた気がしたものの、そっちを見る勇気なんて無くて。


ちょっぴりモヤモヤした気持ちを残したまま、お昼休みは終わっていった。


午後は迫りくる眠気と闘いながらの授業かぁ……。




「ねぇ、笠井さん」


「んー?」


「笠井さんってメロンパン好きなんだよね?」


「そ、そうだけど……」




出かかった欠伸を噛み締めていると隣からまた同じ質問が。




「でもさっき紗耶ちゃんからチョコチップの方貰ってたじゃん?」


「あー……」




紗耶、結構大きめの声で喋ってたからなぁ。


斎川君にも聞こえたのかな?




「そうなんだけど……。
紗耶もあのメロンパン大好きだし買ってきて貰ったから譲るのは当たり前だよ」


「お姉さんだねー。
妹弟とかいるの?」


「小学生の妹と弟がいるよ」


「だからかぁー」


「だ、だから……?」


「うん。
お姉さんだなーって」

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