し ろ う さ ぎ

でも斎川君の声音はなんだか硬い。



「……っごめん。
今日……遠足行けなくなりそうで……」


「えっ?
体調優れ……」


「……夏稀君?」


「……っ!」




─────────…電話越しのこの声は葵ちゃん。


二人は今、一緒に……?

……落ち着け、落ち着いて。


ごくり、焦りを飲み込んで。



「わ、分かった……。
あの……あたしも今から行ってもいい……?」


「で、でも笠井さん学校……」


「葵ちゃんに……伝えたいことがあるんだ」




そう言った後、しばらく向こうは静まり返る。


そんな無言の間が酷く長く感じた頃……



「……緑ヶ丘公園……」


「えっ?」


「そこに……今いるんだ」


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