し ろ う さ ぎ
斎川君は、緑ヶ丘公園と確かに言った。
「分かった」
持ち物は携帯だけを。
お菓子をパンパンに詰め込んだリュックも、今日一日のしおりも、髪の毛のオシャレも今日は一旦保留だ。
「あ!
もしもし、紗耶ごめん!
今日遠足行けない!」
「えええ!?
ちょっ、どういう……」
「さ、斎川君とあの……葵ちゃんがその……公園で……あたしも……そこに……」
「わ、分かった分かった!
事情は後で聞くから……!
先生には上手く言っとく」
「ありがとううう……!」
……本当、紗耶にも迷惑かけっぱなしだ……。
頭が上がらないや……。
紗耶との通話を切って、ひたすらに緑ヶ丘公園を目指して全力疾走。