し ろ う さ ぎ
もう、よくない方向にばっかり考える自分を生み出す暇もないくらいに。
ただ、走った。
「……はぁ、はぁ……っ」
だんだんと公園が近付く。
そのベンチに人影が二つ。
徐々に鮮明になっていく。
「あっれー、千鶴さんどうしたんですかー」
近付いてきたあたしを見つけた葵ちゃんは慣れた様子で斎川君の腕に自分の腕を絡ませる。
……ズキン、胸が痛む。
多分……これから何度見たって同じだ。
斎川君を好きでいる限り、ずっと……。
「……い、よ……」
「え……?」
「分かんないよ……!
斎川君のこと……!
理解も出来ないし、幸せに出来ないかもしれない……!」