し ろ う さ ぎ
「笠井さん……っ」
「……っそれでも!
……好き……なのっ。
好きで、好きで……斎川君のこと嫌いになんて……なれない……」
こんなに精一杯の告白を二度も、しかも同じ人にするなんて……思ってもなかったけど……。
「知ってるよ。
だって……オレもだから」
立ちっぱなしだったあたしの目線に合わせてくれるように立ち上がった斎川君が覗き込むように少し屈んだ。
綺麗なその瞳いっぱいにあたしの間抜け面が映っていて……恥ずかしい。
「……言いたいことはそれだけですか」
「ううん……まだあるんだ」
「なんですか、もう……」
「ごめん!!」
両手を合わせ急に大きな声で謝ったあたしの姿に驚いたらしい葵ちゃんが小さく肩を上げた。
「葵ちゃんの家のこと……斎川君から聞いて……」