し ろ う さ ぎ
あたしと斎川君に軽く会釈した葵ちゃんは歩き出した。
「……大丈夫かな、葵ちゃん……」
「うーん……分からないなぁ……。
でもきっと……何かは変わったと思うよ」
「そうだと……いいな」
「笠井さんが変えてくれたのかもね」
「えっ……そ、そんな……!」
と、ここで何を思ったのか、ああと言って葵ちゃんは立ち止まって振り向いた。
「……ん?」
「千鶴さんがいつまでもこのままだったら、夏稀君呼びは葵だけのものですね?」
「……なぁっ!」