し ろ う さ ぎ
からかうような口調で意味ありげに笑う葵ちゃん。
「こ、このままな訳ないもん……!」
「へぇー、楽しみにしてますよ」
「今度会う時はすごいことになっちゃってるんだから……!」
「……また会うつもりですか……」
「もちろん!!」
「……ふふ。
遠慮しときまーす」
そして葵ちゃんは今度こそ、一度も振り返ることなく歩いていく。
どんどんとその姿は小さくなるけれど、あたし達は一歩も動かずにただ見送っていた。
そして葵ちゃんが角を曲がって完全に見えなくなった頃、その場で口を開いた。
「……斎川君……ごめんね。
あたし……心の中で……斎川君のことだけ責めてた……」