し ろ う さ ぎ
「いいんだよ。
すぐに信じてって難しい話だし、それでも……千鶴はまた傍にいてくれた」
「……っへ!?」
「葵がこのままだとって話してたから、呼んでみた?
いいね、千鶴って名前」
「……もうっ……やっぱりモテる人は違う……!
なんか慣れすぎて……」
「ははっ。
本当はすごく緊張したけど。
オレのことも呼んでみてよ?」
ふと目が合って。
斎川君は面白そうに目を細めた。
……“千鶴”
今までもいつだって皆から呼ばれた名前だけど……
好きな人に呼ばれる自分の名前は全く違うもののように感じる。
すごく特別な……聞いたこともないような名前みたい。