し ろ う さ ぎ




「あ……ご、ごめん……」


「いや、いいんだけどさー。
今日ちづ、ずーっと上の空だし?」


「そ、そんなことないってー!」




葵ちゃんの発言と平行して、もう一つ気になることが増えた。


それは言わずもがな斎川君のことで。


あれから一人になると彼は何かをじっと見つめているのだ。


授業中にこっそり盗み見みると必ずといっていいほど。


“あの目”が何を見ているのか……あたしは知っているはずなのに……思い出せない。




何がこんな既視感を覚えさせているんだろう……。




「ってか聞いたよ~斎川君からっ。
ちづのこと名前で呼んでたじゃーん!
このこの~ラブラブかっ」


「いででっ」



肩でぶつかってきた紗耶に考え事はその事の衝撃に頭からふっ飛んでいった。
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