し ろ う さ ぎ


「ほら、康汰君そんなこと言わないー。
オレは羨ましいよー?
康汰君は千鶴とずっと一緒にいられるんだから」


「なっ……」



目を細め、康汰の頭をポンポンと撫でながら斎川君はサラリとそんなことを言ってみせる。


斎川君にとっては何てことない言葉なのかもしれないけど。

あたしにとって、その言葉だけで充分ドキドキしてる。


あたしも……そうならいいなって思ってたから……。




「じゃあ夏稀兄ちゃんもここにいたらいいのにー」


「あはは。
出来るならそうしたいねー?
毎日楽しそう」


「そしたら愛璃は夏稀お兄ちゃんとおままごとするのっ」


「だーかーらー!
オレと戦隊ごっこするんだっ!」




小学六年生の康汰、小学五年生の愛璃。

年子の二人は仲が良い時は本当に仲良しなんだけど、その逆はまあ酷い。


今みたいに意見が反対方面に向いたら最後、喧嘩喧嘩の大騒ぎ。
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