し ろ う さ ぎ
斎川君は背を向けて歩いていくのに……
足元に漂う消極的な感情が絡まって足場を無くしていく。
─────────…平凡な幸せが壊れるのはきっとあっという間。
築いた時間の比にもならない早さで崩れていく。
人々はそう理解しつつも、必死に脆い幸せを守っている。
どうして?
そこまでして守る価値がある……?
あたしの答えは、否。
どうせ崩れる幸せなら……いらないよ。
だってどうせ傷付くだけ。
人は自分と同じことを考えているなんて限らない。
それなのに誰かを本気で好きになれない。
どうしてか、なんてことの答えは出ている。
傷付くのが怖いからだ…────────