し ろ う さ ぎ

「私達や生徒には辛い死でしょうけど、この子からしたら……
この死をもって妹とまた会えるかもしれない。
そんな喜びも僅かにあるんじゃないかしら」




良美先生の言葉にハッと気付かされ、今にも息絶えてしまいそうな白ウサギに近寄る。


この子も確かに生きていた。

皆に愛されて、可愛がられて。

その事実は消えない。


姿形は無くなっても……大切な思い出へと変わって……

いつまでも心の中に生きている。


生きている、その時間を共に出来ることは人生を豊かにしてくれる。


何かを手に入れる時は失うことから逃れられない。

でも……そのことに怯えていたら……何も出来ない。

失うことを越えて……初めて尊さを知り、次の出会いへ繋がるのかも。


今まで断固拒否してきた件も、もう一度見直そうかな。
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