し ろ う さ ぎ
憂いを感じた時も、嬉しそうに笑ってた時も……斎川君自身だった。
……ごめんね、気付けなくて。
ちゃんと斎川君のこと知ろうともしないで。
「……はぁ、はぁ……ここ、が……」
ここが、斎川君の……家。
アパートの二階、一番右端。
頭は急げと急かすのに……足は鉛のような重たさ。
「……あれ?
留守……?」
ようやくともいえる体感時間で辿り着いた斎川君宅。
インターホンを鳴らすも返事は無くて……。
出掛けてる……?
「……うーん。
考えにくい……?」