し ろ う さ ぎ
やっぱりこの匂い……ガスだ。
服の袖を鼻先に当てて辺りを見回すと……
「斎川君っ!!」
居間に横たわる人影が二つ……。
斎川君と……そして……父親だろうか。
「ねえ斎川君!
聞こえる!?
目を開けて!!」
揺さぶっても綺麗な顔を崩さないまま。
目覚めることなく意識を失ったまま。
「そっ、そんな……っ!」
震える手で携帯を取り出して救急車を呼んで……。
それからとりあえず換気扇を回して、家中の窓を開け放して……。
窓は全てガムテープで隙間すら残さず埋められていた。
そこで玄関だけが開いていたのが疑問だったけど……
部屋をよく見渡せば答えは出た。