し ろ う さ ぎ



やっぱりこの匂い……ガスだ。
服の袖を鼻先に当てて辺りを見回すと……




「斎川君っ!!」



居間に横たわる人影が二つ……。

斎川君と……そして……父親だろうか。



「ねえ斎川君!
聞こえる!?
目を開けて!!」



揺さぶっても綺麗な顔を崩さないまま。
目覚めることなく意識を失ったまま。




「そっ、そんな……っ!」




震える手で携帯を取り出して救急車を呼んで……。
それからとりあえず換気扇を回して、家中の窓を開け放して……。




窓は全てガムテープで隙間すら残さず埋められていた。


そこで玄関だけが開いていたのが疑問だったけど……

部屋をよく見渡せば答えは出た。

< 310 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop