し ろ う さ ぎ
あなたと生きていきたい
*
昨日のバタバタとした日から一転して翌朝。
朝日の差し込む真っ白な廊下を歩き、退院を控える斎川君がいる病室まであと少し。
そんな時……誰かのお見舞いに来たのか、女の人が前を歩いていた。
子供か旦那さんのお見舞いかな?
なんて大して気にも留めなかったけど……。
「……あ」
そう言えばこの先は斎川君のいる病室だけ……。
それも個室の…────────
「……ま、まさか、ね……?」
立ち止まって、考え込むように足元を見る。
“斎川君の母親は……小さい時に男と蒸発したらしい……って”
“母親はオレが小さい時に男といなくなったって”