し ろ う さ ぎ
そんなこと……あるわけ……
だって、わざわざ戻ってくる理由なんて……無いじゃない……。
「あの……斎川夏稀君の病室はここでしょうか……?」
視線を上げた時、その女の人と目が合って。
あまり元気のない声でそう話し掛けられた。
「えっ……は、はい……。
あの……もしかして斎川君のお母さん……ですか……?」
ただの予感、でもどうしても聞かずにはいられなくて……。
問い掛けた声が微かに震える。