し ろ う さ ぎ
「……母親……とも胸を張って言えませんが……。
私は夏稀の母親です……」
「なっ……!」
「夏稀の……彼女さんですか?」
「……ま、まあ……そういったところでしょうか」
失礼な話、斎川君を置いていって今更なんだというのか……。
それが正直な感想だった。
「そうでしたか。
あの……夏稀の容体は……」
「昨日すぐに目を覚ましました。
命に別状は無いとのことです」
─────────…彼女はその扉を開けるのだろうか。