し ろ う さ ぎ
……デリカシーも無しですか。
距離詰めてくるの早くないですか。
普通こんな年の女の子が学校行きそうにもない風だったら何かあると思うでしょうよ……。
「何してるって……学校行きたくないだけなんで」
「行きたくない……って……」
「……色々あるんですー」
これ以上引き留めると向こうも遅刻するんじゃ……?
そう思ってこの場を切り上げようと軽く一礼して踵を返す。
……まだ何か色々と言っている彼を背中に置いて。
名前も知らない彼との出会い……なのか再会なのかはさておき。
きっともう会うこともないだろうから。
きっともう、これきり。
自分には自分なりに向き合わなきゃいけない現実があるから……。
「……ふぅ」
……嫌だな、会うの……。
今までも何度も父親から連絡は入っていたものの……
でもそれは……“竹原葵”を心配するものなんかじゃなくて……。
「ったくよぉ。
こんなとこまで越させんなよ、面倒くせえ」
「……勝手に来たのはそっちでしょ」
「あぁ?
ガキが偉そうな口利いてんじゃねえよ。
誰のお陰で飯も食えて学校通えてると思ってんだ」