し ろ う さ ぎ
「あれ、笠井さん」
「へっ!
さ、斎川……君……っ」
屈みかけていた変な体制から急いで元に戻る。
どうやら無事思い出したらしい様子の斎川君に、至って落ち着いた声で問われて動揺。
「あ、あの……!
携帯……忘れてるなぁーって……?」
「そうなんだよねー。
家まであと半分って時に思い出してさ」
「そ、そそうだったんだ……っ」
教室って……こんなにだだっ広かったっけ……。
何か言わないと気まずい広く感じる空間の隅に斎川君と二人。
今日はあんまり話せなかったからか、何て話し掛ければいいのか戸惑うばかり。
あれ……あたし、この前までどうやって斎川君と話してたんだっけ……。