し ろ う さ ぎ

なんか……携帯取りに来ただけなのに引き留めたみたいで悪いなぁ……。



「はは、まあね。
なんかオレにはガツガツきてくれたよ、笠井さん」


「え、あ、ちょ!
い、いや……そんなことは……ある、か……」


「えー、なにそれちづってばーっ。
あたしとはもう三年目の付き合いだってのにぃー」


「ご、ごめんってぇ……!」


「あっはは。
冗談、冗談~」


「ほらね、笠井さん。
オレの言った通りだ」


「へ?」


「ちょっと~!
なんのことよ、お二人さんー!」


「ふはは。
内緒ですー」




人差し指を口角に当てていたずらっ子のように笑ってる斎川君。



“優しいのに、哀しい人”


“笠井さんってそんな人”


“笠井さんは相手の気持ちに敏感だし、自分らしくいても誰かを傷付けることはないと思うよ”
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