し ろ う さ ぎ
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「おはっ……よー……?」
「お、ちづおはよ!」
翌日、挨拶を交わそうと教室に入ってみると何やらクラスの中心地が騒がしい。
寝坊しちゃって、いつもよりだいぶ遅く来たあたしには何が何だか不明のまま。
発した声は途中で張りを失って足元にポツリ落下する。
「斎川君、すっかり人気者だよー」
「あ、斎川君かぁー」
どうやらその中心にいるのは斎川君らしい。
何人ものクラスメートに囲まれ、朝の教室は時間にしては珍しく賑やかだった。