し ろ う さ ぎ
いつもよりずっと近い距離感にあたしは斎川君の一挙一動にいちいち反応してしまう。
……こんなに近くにいるのに……
もしかしたら……もうこうして話すことも出来ないかも知れない。
彼女が出来たら……
しかも相手が相手だし……。
「……あ、あの……」
「どしたの?」
「そ、そのー……」
「うん?」
「……あー、やっぱりいい……です」
「なにそれー、気になるじゃんー?」
机に頬杖をついて不満そうにする斎川君。
いっそのこと聞いてしまいたくて口を開いたものの……。
やっぱり途中で尻込みしてしまう。