し ろ う さ ぎ




って……なんでホッとしてんのあたし……。

最低だ。

唯ちゃんが失恋したっていう事実に変わりはないのに。


自分はこうして隣の席だからってだけで勝手に斎川君と距離が近付いたなんておこがましい。





「へぇー、気になるー?」


「い、いやぁ……?」


「はは。
まあそうだよねー」




冗談っぽく笑って前へ向き直った斎川君。

気になるに決まってる。

でも口では素直に到底言えない。


こんなんで……これからどうするって言うんだ、あたし……。

むしろこのままなら斎川君に振られる一択だ……。



この時はあたしと斎川君との一対一の問題だとばかり思っていたけど……

あの唯ちゃんを振ったことで、やっぱり事態は深刻化していたことに気付くのは……


もう少し先のことだった…────────



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