し ろ う さ ぎ
シャープな輪郭に整った眉、切れ長の一重が顔全体を涼しげに見せていた。
形付きのいい鼻に薄めの唇。
外見はまさにモデル。
そして黒板に記されるのはイケメン転校生の名前。
“斎川夏稀”
「えぇー。
これから卒業までの短い間になりますがこのクラスに加わる斎川夏稀君です」
じ……字体までなんかこう……イケメンなんですが……?
「では斎川君からも一言どうぞ」
「……斎川夏稀です。
卒業までの間よろしくお願いします」
ピンと張った糸のような真っ直ぐで心地よい低さの綺麗な声。
聞く者全ての心に染み入るようだった。