し ろ う さ ぎ
机に手を置かれ、幾分か小馬鹿にしたように言われる。
しかもよりによってそんな答えてづらい質問……。
斎川君もそろそろ移動教室から戻ってくるはずだ……。
「どうなの?」
「……い、いやそんな……」
「斎川君のこと好きか嫌いかの二択でしょ?
そんな迷うこともないじゃん」
そして彼女の視線がふとドアの方に吸い込まれていく。
そこにいるのは……斎川君だった……。
何事かと少し驚いたようにあたし達を見つめて立ち尽くしていた。
「ま、迷うというか……」
「好きって言ったら……唯に目つけられるし?
嫌いって言ったら……斎川君とは話しづらくなるよねー」
まさに悪女のような顔付きで答えにくいボーダーラインを引いてくる。
彼女の言うことは悔しいけどまさにその通り……。
斎川君のことはもちろん好きだ。
友達という意味でも……それよりも少し特別な意味で好きになろうとしていることも……。