し ろ う さ ぎ


机に手を置かれ、幾分か小馬鹿にしたように言われる。


しかもよりによってそんな答えてづらい質問……。


斎川君もそろそろ移動教室から戻ってくるはずだ……。




「どうなの?」


「……い、いやそんな……」


「斎川君のこと好きか嫌いかの二択でしょ?
そんな迷うこともないじゃん」




そして彼女の視線がふとドアの方に吸い込まれていく。


そこにいるのは……斎川君だった……。

何事かと少し驚いたようにあたし達を見つめて立ち尽くしていた。




「ま、迷うというか……」


「好きって言ったら……唯に目つけられるし?
嫌いって言ったら……斎川君とは話しづらくなるよねー」




まさに悪女のような顔付きで答えにくいボーダーラインを引いてくる。




彼女の言うことは悔しいけどまさにその通り……。


斎川君のことはもちろん好きだ。


友達という意味でも……それよりも少し特別な意味で好きになろうとしていることも……。
< 95 / 356 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop