し ろ う さ ぎ
VS...?
斎川君はそう言って教室の自分の席まで堂々と、決してもう俯くことなく歩いてきた。
「オレは自分の気持ちを一番大事にしたい。
どう感じるのか、思うのか。
誰のことを好きでいたいのか……それを決めるのは他の誰でもない自分自身だから」
「……あっそ?
まあ後悔しなきゃいいけど」
フン、と鼻を鳴らして彼女はセミロングの艶々しい髪を翻して席まで戻っていった。
と、同時に詰めていた息も細くはき出す。
「笠井さん……本当ごめんね」
「そ、そんな……!
斎川君が謝ることじゃないよ……っ」
「……ううん。
オレのせい……」