羽瀬くんは私のことがキライ。


思い切り手を引かれながら、毎朝の通学よりも速いスピードでどこかへ走っていく。


目の前が見えずに走る恐怖は、不思議と感じなかった。



…もしかして、野田から助けてくれたのかな。


そう気づいてまもなく、止まったその人は




「走るの速いね」




と、そんなどうでもいいことを息乱さずに言う。


なんかちょっと癪に触って、

こっちは朝からマラソン大会か!

なんて言おうと被さっていたものを取ると、そこには誰もいなかった。



「…え、ホラー?」



なわけないよね?


だって、これ…ピンクのパーカー、私に被せたの絶対いるもんね。


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