羽瀬くんは私のことがキライ。
ピンクのパーカー
「あ、琴乃お帰り」
「思ったより早かったじゃん!」
教室に行ったのは、ちょうど3時間目の前だった。
二人はニヤニヤして話しかけるけど、正直「誰のせいだ!」と言ってやりたい気分。
「まー、ちょっとね」
あはは、と笑ってようやく席に着いた。
それにしても、このピンクのパーカー誰のなんだろう…
今もそのまま着てるけど、ダボってしてて私には大きい。
あの声も、私を引っ張って行く力も、このサイズも、男の子ってことになるんだろうけど
…すぐ消えちゃったなあ。
名前くらい…いやせめて顔くらい見せてくれてもいいのに。
「琴乃ちゃんおはよ!」
「あ、おはよー」
後ろの席からいつものように話しかけてきた桃子ちゃんはいつも元気だ。