特進科女子と普通科男子
4
暖かい日差しが差す窓際のこの席で、机にだらりと身を投げ出して睡眠に興じる。
うつらうつら。
とんとん、と肩を叩かれて、俺は目を覚ます。微睡の中で、あの子の姿を捉えた。
あの子が振り返って、俺に柔らかく微笑む。
そして、俺の名前を呼ぶんだ。
ーー「要」って……あれ?
あの子の声は、こんなに低かっただろうか。
まるで、男みたいなーー
「ーーおい、要!」
「った!……んあ、夢?」
目の前には同じ普通科の制服を着崩した男ーー美鈴が立っていた。
どうやら俺を乱暴に夢から目覚めさせたのは彼らしい。
「起きたか」
その声が、夢の中のあの子の声と一致した。
美鈴の声だったことに安堵したが、あの子の声でなかったことに落胆した。
「寝ぼけてんじゃねー。話があるって言ったの、お前だろ」
そう言われて、先程の屋上で「聞いてほしい」と呼び止めたことを思い出した。
「あ、」
「早く話せよ」
彼は溜息を吐いて、どかっと前の席に座り、だるそうに頬杖をついている。
俺が起き上がるのを待たず、焼きそばパンの袋をびりっと開けた。
「実は、さっき目が合ったんだよね」
「へぇ、それで?」
「え、それだけ」
「……」
睨みつける彼に、にっこりと微笑みを返して、俺は窓の外に目を向けた。
中庭を挟んで向こう側の新校舎ーー特進科の校舎は、こちらのよりもずっと白くて綺麗なまま。
それを見るたびに、住む世界が違うんだと実感させられる。
「この前は、あの子と話せたんだろ?」
焼きそばパンを食べ終わった彼が、頬杖をついてこちらを見ていた。
「そうなんだよね。本当に可愛かった」
真面目な顔で答えると、彼は大人びた表情で「へぇ」と微笑んだ。
うつらうつら。
とんとん、と肩を叩かれて、俺は目を覚ます。微睡の中で、あの子の姿を捉えた。
あの子が振り返って、俺に柔らかく微笑む。
そして、俺の名前を呼ぶんだ。
ーー「要」って……あれ?
あの子の声は、こんなに低かっただろうか。
まるで、男みたいなーー
「ーーおい、要!」
「った!……んあ、夢?」
目の前には同じ普通科の制服を着崩した男ーー美鈴が立っていた。
どうやら俺を乱暴に夢から目覚めさせたのは彼らしい。
「起きたか」
その声が、夢の中のあの子の声と一致した。
美鈴の声だったことに安堵したが、あの子の声でなかったことに落胆した。
「寝ぼけてんじゃねー。話があるって言ったの、お前だろ」
そう言われて、先程の屋上で「聞いてほしい」と呼び止めたことを思い出した。
「あ、」
「早く話せよ」
彼は溜息を吐いて、どかっと前の席に座り、だるそうに頬杖をついている。
俺が起き上がるのを待たず、焼きそばパンの袋をびりっと開けた。
「実は、さっき目が合ったんだよね」
「へぇ、それで?」
「え、それだけ」
「……」
睨みつける彼に、にっこりと微笑みを返して、俺は窓の外に目を向けた。
中庭を挟んで向こう側の新校舎ーー特進科の校舎は、こちらのよりもずっと白くて綺麗なまま。
それを見るたびに、住む世界が違うんだと実感させられる。
「この前は、あの子と話せたんだろ?」
焼きそばパンを食べ終わった彼が、頬杖をついてこちらを見ていた。
「そうなんだよね。本当に可愛かった」
真面目な顔で答えると、彼は大人びた表情で「へぇ」と微笑んだ。