特進科女子と普通科男子
よく眠っている由李。

いつも、男の人を見るだけでもびくびくしているのに、肝心なところで自己犠牲したりするから。

危なっかしくて見ていられない。

勉強も運動もそこそこ出来るのに、対人関係はほぼ最悪。

その可愛さゆえに女子からは妬まれ、男子には不愉快極まりない愚行の標的にされ。

今まではずっと、私だけを頼りにしてくれていたのに。

守るって決めてたのに。

「相良君なんて……嫌い」

「うーん。そっか」

わざと、失礼なことを言ったのに。

怒るでもなく、悲しむでも、喜ぶでも、困惑するでも、問い詰めるでもなく。

彼は、ただ受け入れた。その表情は何一つ変わらない。

それはきっと、相手に無関心だから出来ること。

期待していないから、怒る必要も、傷付く必要もないということか。

私よりも、美鈴よりも。多分この人は、冷たい人なんじゃないかと思う。

由李以外には。

「相良君は、由李のどこを好きになったの?」

彼は、きょとんとした顔で私を見ていた。

これはいつか聞きたかったことだ。由李の見た目が好き、なんて言ったら殴ろう。

「え、何で知ってるの」

ばれていないと思っていたのか、素直に驚く彼に少し親近感を抱いてしまう。

「気付いてないの、由李くらいじゃない?」

「……本当に言ってる?」

「で、どこ?」

なかなか答えに辿り着けなくて、もどかしくなる。焦らされるのは好きじゃない。

「んー、可愛いとこかな」



ーー極刑だ。
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