特進科女子と普通科男子
2
「由李ー、おはよう!」
「おはよう、宮ちゃん」
教室で迎えてくれるのは、親友の宮ちゃん。
長い黒髪をポニーテールにして、青いリボンで結っている。
赤やオレンジが似合う彼女の雰囲気と相反するようなそのリボン。
幼い頃から肌身離さず付けているそれは、今では少しよれてしまっている。
彼女の宝物だ。
「今朝は普通科に絡まれなかった?由李は可愛いから、私心配だよ」
こてんと首を傾げた彼女のポニーテールが、さらりと揺れる。
彼女は腰に手を当てて、私の顔を覗き込んだ。
少し猫目の彼女の上目遣いは、とっても可愛い。
私はへらりと笑って、今朝の出来事を話した。
「うん。普通科の男の子が、道を通してくれなかったんだけどね」
ーー相良君、って男の子が助けてくれたんだ。
そう言うと、彼女は猫目を丸くして、あわあわと私の手を上下に振った。
「でも、その人も普通科なんでしょう?あとで恩着せがましく言ってくるんじゃない」
彼女は普通科が苦手だ。
彼女だけでなく、特進科は普通科が嫌い。普通科は特進科が嫌い。
廊下ですれ違えば喧嘩が始まる。
視界に入るだけで舌打ち。それが耳に届けば、やっぱり喧嘩。
普通科は良くいえば自由奔放。悪くいえば不良。
制服は規則通りには着ないし、授業もさぼる。
校舎の窓を割る、なんてこともありふれた光景である。
「おはよう、宮ちゃん」
教室で迎えてくれるのは、親友の宮ちゃん。
長い黒髪をポニーテールにして、青いリボンで結っている。
赤やオレンジが似合う彼女の雰囲気と相反するようなそのリボン。
幼い頃から肌身離さず付けているそれは、今では少しよれてしまっている。
彼女の宝物だ。
「今朝は普通科に絡まれなかった?由李は可愛いから、私心配だよ」
こてんと首を傾げた彼女のポニーテールが、さらりと揺れる。
彼女は腰に手を当てて、私の顔を覗き込んだ。
少し猫目の彼女の上目遣いは、とっても可愛い。
私はへらりと笑って、今朝の出来事を話した。
「うん。普通科の男の子が、道を通してくれなかったんだけどね」
ーー相良君、って男の子が助けてくれたんだ。
そう言うと、彼女は猫目を丸くして、あわあわと私の手を上下に振った。
「でも、その人も普通科なんでしょう?あとで恩着せがましく言ってくるんじゃない」
彼女は普通科が苦手だ。
彼女だけでなく、特進科は普通科が嫌い。普通科は特進科が嫌い。
廊下ですれ違えば喧嘩が始まる。
視界に入るだけで舌打ち。それが耳に届けば、やっぱり喧嘩。
普通科は良くいえば自由奔放。悪くいえば不良。
制服は規則通りには着ないし、授業もさぼる。
校舎の窓を割る、なんてこともありふれた光景である。