銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
それを調べる術も私は知らない。

私は……無力だ。

ここで過ごした日々を思い出しながらじっと目を閉じる。

お父様、お母様……天国でお幸せに……。

両親の冥福を祈りゆっくりと目を開ければ、子供達が楽しく遊んでいる。

「……平和ね」

しばらくボーッと子供達が遊ぶ様子を眺めていたら、誰かが私の横に腰掛けた。

どこかのおじいさんかおばあさんかと思って特に気にも留なかったのだが、不意にその人に声をかけられる。

それは意外な人物で……。

「こんなところに供も連れずに出歩くとは、ホント無茶をする人だな」

呆れた口調で言うその人の声を聞いて、思わず横を向き、驚きで目を見開いた。

「ジェイ!」
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