銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
再会してからというもの、暇さえあれば彼女のことばかり考えてしまう。

気になって仕方がないのだ。

セシルとわかったのは嬉しいが、ひとりで出歩くのを容認は出来ない。

誘拐事件はまだ完全に解決してはいない。

「つい先日誘拐されたばかりなのに、ひとりで出歩くなんてお前は馬鹿か」

溜め息交じりの声で厳しく注意すれば、セシルはカッと目を見開き、俺に食ってかかった。

「供を連れていないのはあなたも同じでしょう!」

「女と男では違う。また暴漢に襲われたらどうするつもりかな?」

冷ややかに聞けば、彼女はキッと俺を睨みつけた。

「隙をついて逃げるわ」

この負けん気の強さは昔と変わらない。

ゴードンの話や今日の彼女の行動を見て、無鉄砲過ぎると思った。

自分の力を過信しているんだ、きっと。

「逃げられずに監禁された人は誰だっけ?」
< 103 / 263 >

この作品をシェア

pagetop