銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
7、私の心の鎧を剥がす
「下ろして!歩けます!」

宮殿に着いても、私の身体を軽々と抱き上げて中に入るジェイに向かって叫ぶ。

だが、怪我した左腕が痛くて強く抵抗出来なかった。

それに、宮殿に戻る途中雨が降って、私もジェイもずぶ濡れ。

こんな姿、人に見られたくないのに!

「下ろすと逃げるだろう?腕の傷の手当てもあるし、この冷たくなった身体をなんとかしないと風邪を引く」

険しい表情で言ってジェイは私の言うことなど聞く耳持たない。

長い廊下をカツカツと靴音を響かせ足早に進む彼。

確かに……寒さで身体が震える。

だが、彼にこの状態で運ばれるのはかなり目立ってしまう。自分で歩きたい。

私はエミリー様の替え玉。

出来れば存在を忘れられるくらいひっそりと過ごしたいのに、なぜこうも目立ってしまうのか……。


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