銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
むしろ、セシルをここに向かわせたことに礼を言うべきだろう。

それに、公爵夫妻の遺体を王家の墓地に埋葬したことを彼女に伝えなくては……。

そんなことを考えていたら、控え目なノックの音がしてそっとギリアンが入ってきた。

いつもなら根掘り葉掘り事情を聞きそうなのに、こいつは意外にもセシルが眠っているのを確認してすぐに退出しようとする。

だが、何か異変に気付いてもう一度彼女の寝顔をじっと見た。

「……金髪?」

ギリアンは目を見開き、呆然と呟く。

まあ、こいつが驚くのも無理もない。

黒髪だった令嬢が突然金髪に変わったのだから……。

「これは……どういうことですか、ジェイ?」

怪訝な顔で俺に説明を求めるギリアン。

セシルには口止めされたが、いつまでも隠し通せる訳がない。

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