銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「愛の告白なら彼女に直接お願いします」

クスッと笑ってギリアンは俺を冷やかす。

……“愛”か。そうなのだろうか?

今まで本気で女を好きになったことはない。

王太子になるために帝王学を家庭教師に叩き込まれ、その合間に教養や礼儀作法も身につけさせられ、他のことを考える時間もなかった。

女に夢中になる余裕もなかったように思う。

父が望むような王太子になろうと必死だったんだ。

十七から三年間は塔に監禁されていたしな。

「愛かどうかはわからないが、もう彼女以外には関心を持てない」

親友でもあるギリアンに本心を告げると、どこか自慢げな顔で言う。

「令嬢を集めたのは無駄ではなかったようですね」

セシルに会えたのは自分の手柄だと言いたいのだろう。
「ああ。だが、他の令嬢は必要ない。今すぐ追い出せとは言わないが、あとしばらく持てなしたら、適当に帰らせろ」
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