銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「そうですね。すぐに帰したのでは反感を持たれますから。一度くらいはあなたが何かしら会を主催する必要がありますよ」

ギリアンの言葉に渋々頷く。

「わかっている。近いうちに舞踏会を開くから、準備を頼む」

舞踏会に出れば、令嬢達も満足して帰るだろう。

「わかりました。陛下もレノックス公爵令嬢のことを知ればお喜びになります!」

ギリアンは嬉しそうに頰を緩める。

「気が早いぞ。まだ令嬢の誘拐事件が完全には解決してい……‼︎」

浮き立つギリアンを注意していたら、ドアが勢いよく開いてゴードンが入ってきた。

「おい、ジェイ!」

俺が人差し指を立ててシッと声を潜めると、ゴードンは気まずそうな顔で「あっ、悪い」と謝った。

「薬を飲んで彼女が眠ってる。静かに頼む」

俺がそう小声で言えば、ゴードンはベッドに目を向ける。

「ん?金髪?」
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