銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
セシルを見て首を捻るゴードンに、「彼女、ちょっと訳あってカツラを被っていたんだ」と説明する。

だが、その答えだけで納得せず、ゴードンは突っ込んで聞いてきた。

「彼女……お前の何なんだ?」

俺が今まで女をここに連れ込んだことはないし、不思議に思っているのだろう。

「俺の天使だ」

ゴードンの目を見て意味ありげに答えれば、「あの?」とひどく驚いた様子で聞き返す。

こいつにもセシルに助けられた話はしていたから、『天使』と言うだけで誰のことだかわかるのだ。

「そうだ。やっと見つけた。だが、まだ彼女がレノックス公爵の娘というのは内密にしてくれ。ギリアンもだ」

彼女は怪我をしているし、あまり周りに騒がれたくない。

俺の言葉にふたりは黙って頷く。

「それで?お前は何か俺に報告に来たんじゃないのか?」
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