銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
ゴードンを見て確認すると、こいつは「ああ、ちょっと耳借りるぞ」と俺に顔を近づけて耳打ちする。

それは、俺を襲った奴らの話で、ヒューゴの跡をつけたら、ある貴族の屋敷に入っていったらしい。

それは、父に仕えている側近の名前で、その令嬢もここに今集められていた。

「へえ、あいつの屋敷か。監視を怠るな」

ゴードンに命じると、こいつは俺の目を見て頷いた。

「一体誰なんですか?」

静観していたギリアンが目を細めて聞いてくる。

すると、俺と同じようにゴードンは耳打ちして知らせた。

周囲を警戒しているのだ。

裏切り者は近くにいる。

「確かあれの娘も寺院に監禁されていたな」

ふとそのことを思い出し、ふたりに目を向ける。

「私達を惑わす為にわざと娘を襲わせたのかもしれないですね」

ギリアンの推測に「そうだな」と相槌を打ちながら考えを巡らす。
< 142 / 263 >

この作品をシェア

pagetop