銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「いいえ。食事もちゃんと食べているようで安心しました。以前よりも体調がいいのでは?」

サーロンの体型は五年前とさほど変わっていない。

牢にいれば筋力も落ちてもっと細っそりするはず。

そんな皮肉を口にすると、こいつはニヤリとした。

「ここの食事は粗食だからな。長生きするにはいいかもしれん。だが、次来る時はブドウ酒でも差し入れろよ。お前の嫁ももうすぐ決まるんだろ?盛大に祝ってやる」

お妃選びの話を知っているのか。

「おしゃべりな者がいるようですね」

冷笑しながらじっとサーロンを見据える。

やはり……こいつと通じている裏切り者がいるようだ。
誰かが食べ物を差し入れ、こいつに情報も流している。
サーロンの指示で今日俺が襲われたとしたら……?

近いうちに何か起こるかもしれない。

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