銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
投獄されるかと思ったら、驚いたことに私の足元に跪いて彼らは言った。

『セシル様、私のことはギリアンとお呼びください』

『俺のことはゴードンと』

呆気に取られる私を楽しそうに眺め、ジェイは『こいつらセシルのことを救世主のように思っているんだ』と意味不明な説明をした。

一体ジェイはこのふたりに私のことを何て話したのか。

ふたりにしか私の秘密を話していないようだけど……。

出来れば、陛下達にはバレずに男爵令嬢のままここを去りたい。

ジェイ達がいるから、もう投獄されないとわかってはいる。

だけど、例え公爵令嬢に戻れたとしても、私にはもう両親はいないし、住む場所さえない。

元の身分に戻っても惨めなだけだ。

それにしても、なぜジェイ達三人は仲がいいのだろう。

歳が近くて、陛下の側近というのもあるかもしれない。
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