銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
そんな不安を口にすると、彼は微かに笑った。

「陛下もギリアンもお前の後ろ盾になりたいと言っている。不服か?」

「そ、そんなわけないわ。私にはもったいないくらい」

慌てて否定する私を見て彼は満足げに言う。

「だったらもう何も問題はないな」

「でも……」

この状況に戸惑う私の唇に、彼は指を当てた。

「俺のことを好きじゃないとは言わせない。諦めて俺のものになれ」

彼の言葉に胸が熱くなる。

ああ……彼には私の気持ちなんてバレバレ。

結婚とか、婚約とか……自分の人生にはもう起こりえないと思った。

もう幸せなんてこないって……。

だけど今は幸福感に満たされて……心がこんなにもあったかい。

王太子妃になれるからじゃない。

ずっとジェイの側にいれるからだ。

嬉しすぎて涙で目が潤んだ。

「……はい」

幸せを噛み締めながら返事をすると、彼はとろけるような笑顔で告げた。

「お前を愛してる」
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