銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
「うーむ、誰かに海の塔に潜入して中の様子を探ってもらう必要があるな」

ゴードンは顎に手をやり考える。

「俺がやる」

あの塔のことを俺はよく知っている。

嫌な思い出しかない場所だが、目を背けるわけにはいかない。

覚悟を決め、静かな声でそう主張すれば、こいつはギョッとした顔になった。

「あっ⁉︎いや、お前はダメだろう。あそこで散々酷い目に遭って……。俺が潜入する」

俺を気遣うゴードンに笑ってみせる。

「お前だと図体がデカくて目立つだろ?」

「そ、それはそうだが……」

尻すぼみになるゴードンの声。

そんなこいつの肩にポンと手を置くと、覚悟を決めて告げた。

「お前の腹心の部下を集めろ。すぐに海の塔へ向かう」

宿命からは逃れられない。

ならば、自分から飛び込んで打ち勝ってやる。

そして、大事なものを守るんだ。
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