銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
少し意地悪だったり、怖い顔で怒ったり……。

でも、根本的に彼は優しい。

そのことを充分過ぎるほど今の私は知っている。

私が寝ていたから、カーテンを閉めておいてくれたのだろうか?

スーッとカーテンを開ければ、日は高く昇っている。
「……もうお昼近いかしら。かなり眠っていたみたいね」

彼はギリアン達に呼び出されたのだろうか?

でも……何だろう?

妙な胸騒ぎがする。

外はいつもと変わりない。

令嬢達が護衛付きで中庭を散歩している。

気のせいだといいのだけど……。

コンコンとノックの音がしてドアの方を振り返れば、クレアが顔を出した。

目が合うと、彼女はニコッと微笑む。

「起きてました?」

「今……起きたところ。ジェイを見かけた?」

なるべく平静を装って答える。
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