銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
えっ?波の音⁉︎

私……宮殿から連れ出されたってこと?

そう言えば、頰に傷のある男が近づいてきて、そこで意識を失ったのよね。

まさかシャーロットに一服盛られるとは思わなかった。

ミルクティーの香りをかいだ時、別の香りもした。

それは……今飲んでいる煎じ薬と同じ匂いだったと思う。

だから、眠ってしまったんだ。

煎じ薬の方はもっと強烈な匂いだけど、ミルクティーにしてその匂いを抑えたに違いない。

油断した。

まさかシャーロットに誘拐されるなんて……。

あの頰に傷のある男と一緒にいたということは、彼女はわざと誘拐されたフリをしたのだろう。

ここを出てジェイにそのことを伝えなくては……。

「姫はお目覚めか?」

私が起きたのに気づいたのか、玉座に座っていた男が立ち上がってこちらにやってきた。


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