銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
何か視線を感じると思ったら、シャーロットが目を細めて私を見ていた。

……私に嫉妬している?

ひょっとして……彼女の好きな人ってサーロンだったの⁉︎

確か『とても強くて、何でも手にする力を持っている』って言ってたわね。

つまり……サーロンに頼まれて私はここに連れて来られたわけだ。

そもそもサーロンは牢に入れられていたはず。

ここにいるということは脱獄したってことよね。

あっ、最近宮殿の警備が厳重になったのはこれと関係しているのだろうか?

だからジェイもピリピリしていたんじゃあ。

サーロンはまた王位を狙ってる。

多分、私をここに連れて来たのは……ジェイをおびき出すため。

彼の足枷になってはいけない。

何とかここから逃げ出さなければ……。

でも……こんな手足が不自由な状態ではどこにも行けない。

それに、何の武器もない。

私は……無力だ。
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