銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
最初の頃は、拷問でまともに考えることすら出来ない状態。

出された食事も喉を通らず、水しか飲めなかった日が続いた。

痩せていく身体。

このままここで朽ちる……そう思った。

無気力のまま日が過ぎていった。

どれだけ時間が経ったのか……、今何日なのか……。

そんなことさえ考えなかった。

ただ時間だけが流れる。

だが、俺はボーッと牢から月を眺めるうちに生きる気力を取り戻した。

いつか外に出てやると……。

それからは、どうやってここを出るかを考えた。

見張りは一日交代で、兵と親しくなって牢の鍵を盗むことは出来なかった。

だから、窓についている鉄格子を外して、脱出することを考えた。

ヒューゴが鉄くずを持ってきて、それをヤスリのようにして鉄格子を削った。

日中は監視の目もあって、作業は真夜中。
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