銀髪の王太子は訳あり令嬢に愛を乞う ー 今宵、お前を必ず奪い返す
テントで仮眠を取っていたら、何やら外で話し声がした。

偵察に行った奴らが戻って来たのか?

どれくらい眠ったのだろう?

疲れが溜まっていたせいか、結構寝ていたような気がする。

起き上がって身なりを整えると、ゴードンの声がした。

「ジェイ、いいか?」

「ああ」

俺が返事をすると、ゴードンと偵察に行っていた近衛兵がテントの中に入ってきた。

「塔の様子はどうだった?」

こいつらに話しかけたその時、馬の蹄の音がした。

誰か来たのか?

そう思ってテントの出入り口に目を向ければ、ギリアンが酷く慌てた様子で、飛び込んで来た。

「ジェイ!」

こいつには、海の塔に行くことを伝えていた。

馬を走らせてここに宰相であるギリアンがやって来たということは、よほどのことがあったはず。

「ギリアン、どうした?」
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